いっそ書店で暮らしたい。

コミックから小説、洋書まで、読み終えた本たちへの思い、読書感想文を綴っていきます。

小説「ラブコメ今昔」有川浩

有川浩さんの「ラブコメ今昔」読了しました。

 

あらすじ

「自衛隊員の皆さんに恋愛や結婚の経験談を語ってもらいたいんです」。二等陸佐・今村和久の前に現れたのは、隊内紙の記者の元気娘・矢部千尋二等陸尉。訊けば、夫婦の馴れ初めを、コラムに掲載したいというのだが!?「みっともない」と逃げる今村、ねばる千尋。一歩もひかない攻防戦の顛末は―!?様々な思いが交錯する、自衛隊員の結婚を綴った表題作を含む、十人十色の恋模様6編を収録した、国を守る男女の本気印恋愛百景。

 

有川さんのラブコメ!表紙もかわいい!とジャケ買いをしました

 

が、シリーズものだったとは知りませんでした。短編集なので、単独で読んでも大丈夫でした。シリーズ1作目は「クジラの彼」。インターネットでいろいろ見ていると、ラブコメではない自衛隊シリーズからのスピンオフも入ってるみたいなので、先に自衛隊シリーズ4冊を読んだ方がより楽しめそう。

 

それでは「ラブコメ今昔」各話の感想を。 

 

・ラブコメ今昔(表題作・一番印象的だった)

ベテランの今村二佐に、奥様との馴れ初めを隊内誌に載せたいと記者が申し出て、ひと悶着する話。若かりし頃のご夫婦のやり取りが面白くて、思わずニヤニヤしてしまいました。あと、隊員同士の結婚についての件には考えさせられました。共働きの家庭が増えていて、両親や親戚が近くにいないケースも多い今、自衛隊以外の方でも同じことが言えると思うので。

 

・軍事とオタクと彼

かわいくて頼もしいけどオタクな彼と、あるきっかけで知り合った彼女の恋愛話。自衛隊であることに誇りを持っている彼の姿と、彼を支えていく彼女の覚悟に魅せられました。

 

・広報官、走る!

上官から女たらしと言われている一尉とテレビ局のADが、自衛隊協力のドラマ撮影現場で奮闘し、恋に発展する話。時間に厳しい自衛隊とルーズなマスコミ。調整役は本当に大変だと思います。一尉を女たらしと呼ぶ上官の真意が、個人的には好きです。

 

・青い衝撃

ブルーインパルスのことは、自衛隊に詳しくない方もご存じでは?アクロバティックな飛行でファンも多い彼ら。バーティカル・キューピッドを生で見たいと思いつつ、ストーカーへの恐怖が最後まで残りました。。。

 

・秘め事

上官に娘の友達を紹介してもらったけれど、付添で来た娘の方と付き合うことになった二尉。なかなか上官に言えずにこっそり付き合う二人の話です。後半の一番応援してくれた同僚のエピソードに、命をかけた仕事なのだと強く思いました。

 

・ダンディ・ライオン

色々とネタバレになるので詳しくはかけませんが、ラブコメ今昔に出てくるある人達のエピソードです。

 

全体を通して。

私は自衛隊のことをほとんど知りません。ただ、この本を読んで、生半可な気持ちではできない仕事なんだと改めて認識しました。あとがきに「訓練中の事故死が多い」と書かれています。衝撃的でした。命がけで任務にあたっている方々のおかげで、今の日本があるのです。

 

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ
にほんブログ村